... 別冊よこぐも手帖 ...

  くらしの知恵と道具 jokogumo−よこぐも− 
静岡 駿河漆器を訪ねて その2
前回分→静岡 駿河漆器を訪ねて その1

細田さん
駿河漆器の職人さん、細田豊さんは塗師歴なんと55年。中学を卒業してすぐにこの道に入り、始めは塗師として漆塗りの分業だけをしていたものの、そのうち独学で曲げものを始めることに。木地からすべて自分で手掛けるようになってから30年以上が経ちました。

「いたずらが好きでね、自分でいろいろなものを作ってみるようになったんですよね。」
細田さんは面白がって何かを作ってみることを「いたずら」という。そして、いたずらから始まったのだという漆塗りの曲げもの作りは何だかとても純粋で、作業場には30年経った今でも感じ続けているだろう「楽しさ」が溢れている。

「こんな貝のような形のとかね、これはもみじの葉でつけた模様。こういうカップでお茶を飲むのもいいし、これなんかは蓋がぴったり合わなくてもう置いてある。いろんなことをやってみるものですから。」
なんて笑いながら次々と見せてくれる作品は本当に様々で、その創作意欲というか姿勢には、こちらまでワクワクさせられる。何かを「生み出す」のが本当に好きなのだと思う。だってそれが、ストレートに伝わってくるもの。

「若い人はいろんな新しいアイデアがあってすごいですよ。私なんかはそういうのはダメで・・・」と謙遜する細田さん。
「ううん、そんなことないですよー。このお花の螺鈿なんて本当に、特に女性からしてみるともう可愛らしくって。」私が率直にそう伝えると、とってもいい笑顔を作っていいました。
「そう、このちょこんと少しだけっていうのがいいなぁと思ってね。」

すごい。
70歳を超える細田さんが、かわいらしさを意識していたことに私は正直びっくりした。かわいらしく、と思って作ったものを、かわいらしいと思って買う人がいる。これってシンプルだけどハード。押し付けがましくなりがちで、工芸の場合は特に難しいような気がする。好みの問題も確かにあるとはいえ。
でもそれを、狙うんじゃなくて、自然にやってしまう。自分がかわいらしいと思って作る、それが伝わる。純粋にものづくりを続けてこられた細田さんだからこそ、それが出来てしまうのだと思います。

そんな感覚を持ち合わせた職人さんである細田さんと、その「かわいらしい」お弁当箱。
jokogumoでご紹介できる日も・・・ちょっとまだ遠いみたい。(私も気長に待っているのですよー)でも、実現できることにはなっています。お楽しみ。

次回は製作過程を少し、ご紹介いたします。→ その3
| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 16:52






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