... 別冊よこぐも手帖 ...

  くらしの知恵と道具 jokogumo−よこぐも− 
つるかんじき


先月奥会津の作り手さんを訪ねたときに見せてもらった「つるかんじき」です。

真ん中の丸い部分が通常の「かんじき」なのですが、それの周りにもっと大きな枠をつけて大きなかんじきにしています。通常のかんじきは雪の上を歩くためのものだけど、こっちは雪を踏み固めるためのもの。降り積もったふわふわの雪を固めて道を作るには、やっぱり一度に大きな面積を踏めたほうが効率的なのです。

とはいえ、これくらい大きなものを足に付けていると歩くのもままならない。そんなわけで、つるかんじきの先っぽには長い紐がくくりつけてあります。

「この紐を持って、上に引っ張って足を上げてやんだ。」



このように(見えるかな?)。
長めの紐を付けていて、持ちやすいところを掴んで余った部分はたらりと垂らしておくのだそうです。それが鶴の首のように見えるから「つるかんじき」と呼ばれているのだそうな。

この作り手さんには今シーズンもマタタビのザルをお願いしたのですが、「かんじき作ってるからダメだ。」と断られたのでした。じゃあ仕方がないですね。

こうして地域の人が必要な道具を、地域の人のために今でも普通に作るこの作り手さんが私は大好きだし尊敬している。マタタビのザルも作るしかんじきも作る。川魚を取るための仕掛けやカゴも作るし縄もなう。本当にかっこいいのです。

つるかんじき。雪がたくさん降ったときには除雪機で飛ばすみたいだけど、除雪機を出すほどでないときには今もこうしてこういった道具が使われています。私もちょっとやってみたい!


| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 19:34
りんごかごのはなし。

青森県弘前市はりんごの産地。りんごの収穫には地元で採れる丈夫な根曲り竹を使ったかごを使ってきました。根曲り竹細工の盛んな集落のほとんどのうちがりんごかごを作り、農家に納めていた全盛期とは打って変わり、今では副業を含める数件が残っているのみ。
「安いプラスチックのものが出てきてからは、みんな食って行けないから辞めてしまいましたよ。」
今でもご夫婦でりんごかごを作り続けるお宅を訪ねてきました。

「わぁ、青い竹のいい香りがしますね。」
さっそく感激する私に・・・

「え?竹の匂いする?」
なんと、もう何十年も竹まみれのご主人は竹の匂いが当たり前すぎて麻痺しているのだそうな。奥様にも「竹のいい匂いがするって」と笑っています。馴れってすごいんだ。

根曲り竹は東北などの寒い地方に自生する細い竹。雪の重さにも負けない丈夫さで、根に近い部分から「し」の字にその姿を曲げながらも上へ上へと成長することからこう呼ばれています。


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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 23:37
山の人が作る道具
五十嵐二三夫さん、大正5年生まれの85歳。時間は短くなったものの、今も毎日山の素材を使って編み組み細工を作る。見よう見まねで始めてからもう40年以上。

山葡萄にくるみ、あけび、マタタビ。薪ストーブで暖められた小さな作業小屋には、道具に生まれ変わるのを待つたくさんの素材が吊るされています。それから、出来上がったカゴもあちこちに。
「出来た分を全部売ればいいんだけども、やっぱり全部なくなっちまうと寂しんだ。いくらかは自分の見えるところに取っといて、眺めるのがいいんだ。囲まれてねぇと落ちつかねぇな。」そういって五十嵐さんは自分の編んだカゴをじっと眺めます。


若かりし頃の五十嵐さんは猟師でもありました(現在は引退されているそう)。そしてそのときのことをとても懐かしそうに、また誇らしげに語ります。
「これは昔獲った熊のあごの骨。こんなの大切に取ってるもんはおらんだろうなぁ。」
「山で食べる弁当はうまいんだ。連れてった犬にもうまいもんやってな、一緒に食うのが最高なんだ。」
動物のこと、山の木々、その香り、空気を思い出しながら。
その様子を見ていると「囲まれてねぇと落ちつかねぇ」のにも納得。この人は、山の人なんだな。手仕事がすきだというのももちろんあるのだろうけど、きっとそれ以上に山が、それから山を感じることが出来るものすべてがすきなのだと思う。

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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 22:25
やちむんの里 横田屋窯
横田屋窯沖縄、読谷村にあるやちむんの里。自然豊かなこの地にはたくさんの窯元が点在し、日々やちむんを作り続けています。
横田屋窯さんは道の脇に出ているささやかな看板を見落としてしまえばおしまい、な感じの少し奥まった場所にあります。木々が覆い茂る道を、山鳩が落ち葉の山で餌を探しガサガサと忙しく動き回る様子を横目に進む。空気もいい。こんな道は、と手前のほうで車を止めて歩いてやってきた選択は大正解。

いちばん手前にあるご自宅、テントを張っただけの簡単な販売所、作業場、登り窯。こつこつと自分たちの手でこの場所を作り上げてきたのだそうです。後で「自分のうちだから、丁寧には出来ていませんよ。」というのを聞いたけれど、私にしてみると丁寧だとかそうじゃないとか以前の問題で、いったいどうすれば自分たちで作れるというんだろう?と信じられないような気持ち。
作業場では、横田屋窯の知花さんがもくもくと土を踏んでいるところでした。
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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 13:42
漆掻きのしごと
jokogumo-note005
6月に岩手県浄法寺を訪ねたときの話をjokogumo-noteにUPしました。浄法寺町は国産漆の最大産地。といっても、実は日本で使われる漆の98%以上は輸入されたもの。そのわずか2%程度のうちの約6割がこの浄法寺漆なのだそうです。

それにしても本当にわずか。その漆を採る、漆掻きのしごとについて少し書きました。漆のものを使っていない人はもちろんだけど、浄法寺漆の汁椀を使っている人にも是非是非読んでもらいたいと思います。使っている器のルーツですよ。こんなふうにして採るんだ!とびっくりするかもしれません。


実はこのとき私も少し漆掻きに挑戦させてもらいました
・・・た、楽しい。
毎日の仕事、しかも1日中となるとそんなことを言ってはいられないのだろうけど、目に見える成果、自然の中の作業は思いのほか大きな喜びがありました。漆掻き職人も高齢化が進み、後継者不足なのだとか。いつか岩手に引っ越して、女漆掻き・・・。一瞬そんなことも考えてしまった単純な私です。年齢制限もないっていうし...←しつこい


| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 13:28
弘前 下川原土人形

郷土玩具が好きです。特に土人形。
古臭くて、ヘンテコで、見れば見るほど愛嬌があって・・・
愛おしい!
この絶妙な感じ、響く人と響かない人がはっきり分かれることは認めますが(笑)私は完全に響く派。素朴で、まっすぐで、無邪気。心がキュンとなるんです。

弘前にもそんな郷土玩具があります。下川原土人形。本で見てからというもの、弘前に行くなら絶対にこの工房を訪ねてみたい、と心に決めていました。
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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 10:57
湯町窯
湯町窯
島根県松江市は私の好きな街のひとつ。松江城の石垣も素晴らしいし、その周りのお堀巡りもおもしろい、街のいたるところに水路が通っているのも特徴です。現代の生活に、城下町らしい風景が普通にある感じ。楽しいでしょう。

そんな松江から、電車で約10分ほどの玉造温泉駅のすぐ横にある湯町窯へ行ってきました。大正11年の創業から現在3代目。民藝運動の河井寛次郎、浜田庄司、バーナード・リーチ各氏から技術指導を受け、地元の粘土、釉薬を活かしつつこの窯独特の作品を作り続けています。


たまごの黄身のような黄色い器。どこかで見たことがある、という人は多いのではないかと思います。目玉焼きを作るためのエッグベーカーなんかはとっても有名。

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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 16:58
静岡 駿河型染めの工房へ

18きっぷで一気に東京から静岡へ行ってきた私。
駿河漆器のお話はもう載せたのだけど、静岡でもうひとつ見たかったもの。それが型染め。
型染めといえば人間国宝であり、民藝運動でも大きな役割を果たした芹沢げさんが有名ですが、その芹沢げ陲気鵑僚仗箸静岡市。市内にもいくつかの型染め工房があるみたいです。

そして今回、その中のひとつ、城北工房へおじゃまさせていただくことに。
工房の大橋俊之さんは曾おじいさんの代から3代目。確かに工房もなかなか時代を感じる造りです。


高い天井に剥き出しの柱。少し薄暗い空間にはいろいろな道具が並び、それらの定位置はきっと、もうずっと前から変わりがないのだと思う。空間全体に時間が流れているというか、時間が空間を作っているというか。大橋さんは「もう古くって。直したいんですけどね。」と笑っていたけど、ううん、全然。すごく素敵な工房です。

訪ねたときにはちょうど作業途中だったということもあり、さっそく少し見学させていただくことに。
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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 11:34
静岡 駿河漆器を訪ねて その3
静岡 駿河漆器を訪ねて その1
静岡 駿河漆器を訪ねて その2

駿河漆器 作業場1
細田さんは塗師で木地師。曲げ物から塗りまでのすべてをひとりでこなす。見学させてもらった作業場にはたくさんの素材が山のように積まれていて、それはまだ木の板の状態だったり、何かの形にカットした切れ端だったり、すでに曲げられているものだったり。
たくさんのことを同時進行でやっているのだと思うけど、その様子は、洗濯をしている間にお掃除を始めたのだけどその途中で庭のことが気になって、外に出て作業を始めてしまったもののピーッと洗濯が終わった合図を聞き、急いで洗濯ものを干していたらまた別の用事を思い出して、干し終わったあとに全く別のことを始めてしまった、というのと似てるのかな、もしかして。なんて。ちなみにこれは私のこと(笑)。

ではせっかくなので、お弁当箱が出来るまでの工程を簡単にご紹介します。

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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 15:11
静岡 駿河漆器を訪ねて その2
前回分→静岡 駿河漆器を訪ねて その1

細田さん
駿河漆器の職人さん、細田豊さんは塗師歴なんと55年。中学を卒業してすぐにこの道に入り、始めは塗師として漆塗りの分業だけをしていたものの、そのうち独学で曲げものを始めることに。木地からすべて自分で手掛けるようになってから30年以上が経ちました。

「いたずらが好きでね、自分でいろいろなものを作ってみるようになったんですよね。」
細田さんは面白がって何かを作ってみることを「いたずら」という。そして、いたずらから始まったのだという漆塗りの曲げもの作りは何だかとても純粋で、作業場には30年経った今でも感じ続けているだろう「楽しさ」が溢れている。

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| 手仕事を訪ねる旅のはなし | 16:52






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